まず、十分に説明したなという印象です。しかしながら、デザインの説明というのは元々難しいんですよね。例えば、通常のコンペや打合せの時でもそうですが、ある種感覚的な説明になってしまうことと、説明する関係者の中ではある程度の価値観や目的を共有できた上でプレゼンをするものなので、メディアや一般の方々には伝わりにくかったところもあったと思います。そして、プレゼン慣れしている佐野氏としてもこれだけのメディアの前で会見するわけですから緊張も隠せなかったと思います。このあたりが、理論的に説明しやすい理科系の会見やメディア慣れし大衆にもわかりやすい言葉を話す政治家の会見とは違うところですね。
ロゴの説明について
その前に。改めてみるとすばらしいロゴですね。会見の説明でつかったフリップボードではアウトライン化されたロゴを出していたが、バランスなどが綿密に組まれているのが分かり、美しいロゴだなぁと思いました。
さて、ロゴの説明の件ですが、佐野氏の説明にもありました通り、このエンブレムの大事なポイントは、オリンピックロゴとパラリンピックロゴが一対である事です。つまり、オリンピックロゴのに使われている要素だけが似ているというのは、一部分を切り出しての指摘になりますのでこの辺は同情します。良い例えか分かりませんが、クルマのデザインで言うと「フロント」と「リア」でしょうか。フロントのグリルやヘッドライトの形や配置が似ているという感じかもしれません。クルマに興味がない人には、それだけでも「似ているクルマ」に見えるかもしれませんし、クルマが好きな人は「いやいや、リアや全体のシルエットも含めてデザインだから全然違うクルマだよ」と言うかもしれません。
気になってたこと
私が気になってたことは、デザイン的な説明よりも「なぜツイッターとフェイスブックを閉じたのか」でした。質問してくれた記者さんありがとう。単純でしたね「今年5月に非公開にしている。今回の騒動で閉じたわけでない」との事だったので納得。SNSを止めたくなる理由はわかりますので。特に著名な方になればなるほど変に絡んで来る人も多いでしょうから・・・。しかし、ツイッターの乗っ取りについては不可解ですね。本当に乗っ取りでしょうか。
他の作品についてのパクリ疑惑について
これも貴社の質問にありましたね。これはしっかりした回答がでませんでしたが、これは本題ではないですし、しょうがないところですね。機会があれば説明して欲しいところです。
最後に
世界中のデザインや印刷物を人類の歴史から振り返ってチェックするのは不可能でしょう。ひょっとしたらGoogleさんならやってくれるかもしれませんが。少なくとも、まったくのオリジナルを生み出していくのは難しくなっていくのは事実です。これは歌も一緒ですね。ですから、悪意があったか(知っていたか)と全体的な作品としての模倣があるかだけで判断してあげないとアーティストは可哀想な時代になります。人類にとって良質な芸術は必要なので、どうかアーティストを苦しめさせて、辞めてしまわないようにしてあげて欲しいところです。