はじめに:Facebookページの仕組み
Facebookページの運用はしているが、なんとなく運営をしていて数値も「いいね」数しか見ていない状態というのが多いと思いましたので、私が考えるFacebookページの運用指標をまとめてみました。ウェブディレクターや企業の広報担当などFacebookページを管理している人の参考になれば幸いです。
ページのいいね数≠投稿が届く人数
FacebookやツイッターなどSNSには、いいね数やフォロー数といった、そのページやコミュニティには何人がいるかをあらわす数字があります。数字が大きければたくさんの人に指示されている印象があり、この数字を増やすということ自体は正しいことと言えます。しかし、Facebookページの「いいね」は注意が必要で、Facebookページから発信した情報は「いいね」をした人に必ず届くわけではありません。ページの規模にもよりますが、ユーザーの助けなしではせいぜい10~25%の人にしか届きません。
なぜ「いいね」した人全員に届かないのか?
理由は2つあります。ひとつはFacebookが公式に言っていることでもありますが、Facebookは友達同士のコミュニティーを優先しているからです。つまり、企業の宣伝をタイムラインを占領されたくないのです。たしかに、そんなことになればユーザーは嫌気が指してFacebookから離れてしまうかもしれません。もうひとつの理由はFacebook広告が売れなくなるからです。たとえば、100万人の「いいね」数を持っている企業は無料で100万人に情報を配信することができてしまいます。だから、すでに「いいね」をしたユーザーにも情報を届けたければ広告の出稿が必要になります。ちなみに、Facebookの友達は5,000人が上限というのも同様の理由です。
では、「いいね」数を集めることに意味はないのか?
確かに、数年前に比べて「いいね」数を増やすことだけに広告費を割いていた企業は減りましたが、「いいね」数を増やしていけば情報が伝わる人数が増えることに間違いはありません。それに、見込み顧客の獲得やユーザーとコミュニケーションをとることで企業イメージを良くしたり、マーケティングデータを収集するツールとしても使用することもできます。
より多くの方に投稿を見てもらうために
リーチ数に注目しましょう
実際に投稿が表示されたユーザー数をリーチ数と呼びます。ただし、この数値にはページにいいねをしている人(ファン)以外も含まれます。たとえば、ファンがいいねやシェアをすると、ファン以外にも拡散されることがあります。そのため、ファンの反応が良い投稿はリーチ率が100%を超えることがあります。つまり、表向きのファン数ではなく、実際にユーザーに情報が伝わった数を重視しましょう。
リーチ率はどうすればよくなる?
リーチ率を上げるためにはユーザーとの関係値を上げることになります。 Facebookではユーザーとの関係値をエッジランクといいます。なぜエッジランクが存在するかといいますと、Facebookユーザーに表示されるタイムラインは標準設定でハイライトとなっており、時系列どおりには並ばないため、その人にとって重要な情報を先に出すための指標が必要だからです。ちなみに、エッジランクは基本的に友達のほうが高いです。その理由も前述のとおり、Facebookは友達とのコミュニティーを重視しているためです。そして、エッジランクは過去にそのページ(友達)の投稿に「いいね」「コメント」「シェア」といったポジティブなアクションが多ければ高くなります。それは単純なことですが、過去にやり取りが多いページ(友達)は重要なページ(友達)と推定されるからです。近年ではエッジランクのアルゴリズムが複雑化しているため、必ずしもアクションが多ければよいというわけではありませんが、現在でも重要な指標です。
アクションを起こしてもらえるような投稿にしましょう
回りくどい説明になりましたが、リーチ率を上げるためにはアクションが重要だとわかっていただいたと思います。アクションを起こしてもらうには堅苦しい言葉を使わず、フレンドリーに問いかけるような投稿することが大切です。また、ユーザーの友達が投稿した日常的な出来事と横並びになっても自然と溶け込むような投稿を心がけましょう。
チェックするべき3つの数値
①オーガニックリーチ率
投稿のリーチ数 ÷ ページのいいね数
オーガニックリーチ率とは、広告を除いたリーチ数をページのいいね数(ファン数)を割った数値です。この場合のリーチ数はページをいいねしていない人(ファンではない人)の数値も含まれるため100%を超えることが十分ありえます。オーガニックリーチ率が高いページはユーザーとの関係値がよいと推測されるため重要な数値としました。
②ポジティブアクション率
(投稿にいいね!・コメント・シェアまたはクリックをした人数)÷ 投稿のリーチ数
一般的には「(新)エンゲージメント率」と呼ばれている数値です。あえてこの呼び方にしたのは後述の「ネガティブアクション率」と対称の数値であることをイメージしやすくするためです。この数値は、投稿がリーチされた人に対して、いいね・コメント・シェア・クリックなど肯定的な行動をした人がどれくらいの割合でいたかを表します。
③ネガティブアクション率
(下記①~④の行動をとった人数)÷ 投稿のリーチ数
ポジティブアクション率が、投稿に肯定的な行動をした割合だったのに対し、ネガティブアクション率とは投稿に対して①該当記事のみを非表示にする②該当Facebookページからの記事をすべて非表示にする③記事またはスパムを報告する④いいね!を取り消す(ファン解除)をした人の割合になります。ネガティブアクション率の高い投稿は、原因を検証する必要があります。
この3つを選んだ理由
すべて「率」の指標にすることで、いいね数が多いページと少ないページの比較が行いやすいため。
また、これらの数値はFaceook広告の影響を受けにくい。
各数値の算出方法
①インサイトデータをエクスポート
3つの項目を計算するために、元となる数値のピックアップが必要となります。Facebookページの管理画面から「インサイト」ページに進み「エクスポート」を選択をしてください。
②エクスポートしたエクセルデータから必要な数値をコピー
エクスポートされたデータにはたくさんの項目と数値がありますが、必要なのは下記3点です。必要な日付分をコピーします。
- Daily Organic Reach (日別オーガニックリーチ数)K列
- Daily Page Engaged Users (日別ポジティブアクション数)E列
- Daily Negative feedback (日別ネガティブアクション数)BB列
③コピーした数値を管理用のGoogleスプレッドシートにペースト
その後、数値を管理しているGoogleスプレッドシートにペーストします。あとは関数もコピーすると自動的にオーガニックリーチ率、ポジティブアクション率、ネガティブアクション率が計算されます。
Facebookページ成果管理サンプル - Google スプレッドシート
記事の投稿と編集・削除、コメントについて
投稿の編集・削除についての注意
投稿後に誤りなど気づいた場合は、編集することができます。ただし、編集をした記事には「編集済」の表示が出てしまい、さらにどこを編集したかの履歴も残り、ユーザーも閲覧することができてしまいます。そのため、投稿した早い段階で誤りに気づいた場合は削除して書き直すことをお勧めします。削除した場合は、もちろん「いいね」やコメントなども消えてしまいます。すでに多くのアクションが付いていて、編集内容が軽微かつブランドイメージを毀損しない内容であれば編集で完結させるほうが良いです。
コメントについての注意
コメントが付くことは、アクション率・リーチ率の向上に直結するためプラスの出来事ですが下記のケースに注意してください。
1.スパムコメント
自分のページやサイトの露出を広げるためのスパム行為。放置するとユーザーに迷惑がかかる場合があります。見つけたら「削除」ではなく「非表示」にしましょう。非表示は他のユーザーからは表示されなくなりますが、コメントをした本人は表示されるためクレームに発展しにくいです。また、履歴を残しておくという意味でも良いです。
2.ネガティブなコメントやクレームコメント
コメントでのクレームは、電話やメールのクレームと同じく担当者だけで対応を決断するのは危険です。とくに、無断で削除をすると炎上にも発展する恐れがあります。対応方法を十分検討した上で、コメントを削除せずに残しておくことを勧めます。
3.ポジティブなコメント
ポジティブなコメントにも実は注意が必要で、コメントに対しページ側の反応がないと不快に思うユーザーもいるためです。事前に「全員にはコメントの返信はしない」旨を表記しておくとともに、コメントできる内容であれば、できる限り返信し、難しいコメントの場合は「いいね」しておくことが無難です。
ポジティブ・ネガティブアクションが多い投稿をチェック
ユーザーの反応を見て今後の投稿に注意する
ポジティブアクションを増やすため、またネガティブアクションや前述のクレームコメントが発生しないためにも過去の投稿の分析が必要になります。
投稿ごとの反応を確認する
各数値の算出方法では、日別の数値になるため投稿ごとの数値がわかりません。そのため、投稿ごとにポジティブアクション数・ネガティブアクション数を参照するには、Facebookページのインサイトを直接見る必要があります。
最後に:独自の運用方法を研究することと長い目で見ることが大切です
マニュアルどおりの運用とはいかないのがFacebook
FacebookやSNSには、マニュアルがあるようでないのが現状です。ページごとのファンの考えが異なることやページで配信したいことの違い、そしてユーザーがSNSに対する考え方が年々変化することが理由だと思います。そのため、数値分析による定量調査とユーザーからのコメントやメッセージ分析による定性調査といった独自のマニュアルを築き上げていくことが重要になります。
効果がすぐにでないのがFacebook
Facebookは広告やプロモーションを打たないと、いいね数やリーチ数が伸びず運用のモチベーションが下がりがちです。また、少々いいね数やリーチ数が伸びたとしてのウェブサイトへの流入が伸びないこともあり得ます。ましてやコンバージョン数が目に見えて増えるという効果が出るには非常に時間がかかります。そうして運用を途中であきらめてしまうFacebookページは世の中にたくさんあります。しかし、リーチ数の母数が増えることで確実にたくさんのユーザーには伝わり、顧客関係の改善に役立ちます。粘り強く運用を続けていきましょう。